07/01/2022

夢を叶えた東京オリンピック
-見延和靖さん

団体で金メダルを!夢を叶えた東京オリンピック

東京2020オリンピックのフェンシング男子エペで個人および団体に出場した見延和靖選手。キャプテンを務めた団体では、フェンシング競技で日本初の金メダルを獲得。さらに、東京2020大会を締めくくるパラリンピック閉会式では、日本国旗を運ぶベアラーを務める大役も。その見延選手にオリンピックスタジアムを訪れながら、大会の思い出とともに、東京観光の魅力を伺いました。

技と心理が織りなす一瞬の勝負

見延選手がフェンシングをはじめたのは高校生になってから。小学生の頃は空手。中学生はバレーボールに打ち込んでいたそう。
「もともとスポーツが得意だったため、高校、大学と長く活躍できる競技はないかと考えていたときに父にすすめられたのがフェンシングでした。実は、父自身がフェンシングの経験者。家に剣もあったためすぐに興味を持ち、高校は地元のフェンシング強豪校に入学しました」

フェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルの3種目があるなか、見延選手が選んだのはエペ。エペは、全身が得点の対象となるのが特徴。フェンシング発祥の欧州で人気が高く、世界規模でも競技人口が最も多い、フェンシングの王道といえる種目です。
「エペは、頭からつま先まで全身のどこを突いても点が入るのでルールがとても明確。お互いが同時に突いた場合には、両者にポイントが入るため、一瞬たりとも気が抜けない。剣を手に一対一で向き合い、駆け引きをしながら勝負がつくのは一瞬。技とともに心理戦も多いため、自分の中では格闘技と同じだと思っています」

リオ2016大会での誓いを叶えた東京大会

日本を代表するフェンサーとして活躍を続け、2018-19シーズンは世界ランキング1位に上り詰めた見延選手。東京オリンピックにはどんな思いで臨んだのでしょうか。
「2016年のリオオリンピックでは、団体での出場を逃し、個人戦のみの出場。それが悔しくて。東京オリンピックでは団体戦で出場し、絶対にメダルを獲ると心に誓っていたんです。その目標に向けて、自分自身に磨きをかけて臨んだ大会でした」

そして、念願の団体戦。見延選手は日本チームのキャプテンとして出場。
「僕自身、決勝戦には出場しなかったものの、闘う選手と同じ気持ちでいようとユニフォームにグローブもつけてベンチにいました。最後、加納選手が接戦を制した瞬間は感無量。
『本当にオリンピックで頂点に立ったんだ!』とピストの上でみんなで抱き合いながら喜びました」

アスリートとして地球環境に役立つことを

東京2020オリンピックから1年。メインスタジアムとなった国立競技場を訪れ、懐かしそうに当時の話しをしてくれた見延選手。
「聖火台に灯る炎を見ながら、『よし、やるぞ!』と自分の闘志を燃やした開会式。そして、日本の国旗を持って行進する自分たちを、パラリンピックの選手の皆さんが温かい声援と拍手で迎えてくれた閉会式。このスタジアムで経験したあのときのことを思い出すと、今でも胸が熱くなります」

大会後には、スポーツを通して環境問題に取り組む活動をと、一般社団法人日本スポーツSDGs協会とともに、「折れ剣再生プロジェクト」を発足。
「フェンシングで使う剣は3カ月から半年くらいで折れてしまいます。折れた剣は、廃棄処分するしかなく。それがもったいなくて、何かに使えないかとずっと考えていました。そこで思いついたのがナイフや包丁、メダルなどへの再利用。ただ競技をやるだけではなく、地球や環境にも役立つことをすることもアスリートとしての使命。そう思えたのもオリンピックを経験したからこそです」

観戦とともに街を彩る自然を楽しんで

今後、東京や日本各地で開催される競技大会に、多くの外国人が足を運ぶことが予想されます。来日される方々に見延さんからメッセージを頂きました。
「国立競技場をはじめ、都内や日本各地にある競技場の多くが木々の緑など自然に囲まれた場所にあります。スポーツを楽しみながら、四季折々に彩りを変える自然美を味わえるのも日本での観戦の魅力だと思います。海外からいらっしゃる方の多くが日本のベストシーズンは桜が咲く時季と思っているかもしれません。もちろんその通りなのですが、実は秋や冬もおすすめです。とくに東京の冬は晴天が多く、12月初旬はイチョウの黄色い葉が青空に映えてとても美しい。木々の葉がすべて落ちてしまう真冬はあちらこちらでイルミネーションが灯り、街が華やか。熱戦を観て心を熱くし、さらに木々や街の彩りに触れることで気持ちが華やぐ。そんなひとときをぜひ、日本で楽しまれてください」

<プロフィール>
Kazuyasu MINOBE
1987年、福井県出身。高校入学時にフェンシングを始め、大学入学後はエペに専念。2015年のワールドカップで日本人初となる個人優勝に輝く。翌16年のリオ五輪では6位入賞。2018-19シーズン、世界ランキング1位。東京2020オリンピックにて男子エペ個人および団体に出場。キャプテンを務めた団体では、フェンシング競技で日本人初の金メダリストに。