03/28/2023

清潔で食のクオリティが高い都市・東京
-小松 佳緒里さん

マネージャーとして選手を支えチームに貢献

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、バスケットボール女子、車いすバスケットボール男子がともに銀メダルを獲得するなど、日本ではバスケットボール競技に注目が集まりました。そこで今回は、新たに女子日本代表チームのマネージャーに任命された小松佳緒里さんにインタビュー。バスケットボール競技の魅力の他、管理栄養士資格を持ち、“食”に詳しい小松さんならではの東京の楽しみ方を伺いました。

大けがを機にマネージャーへ転身

中学生のときから全国大会に出場するなど、プレーヤーとして活躍した小松さん。
「父が地元の小学校でミニバスケットのコーチをしており、姉もそのチームに入っていました。練習へ向かう父と姉について行き、遊び感覚でバスケットをやるようになったのが最初。小学3年生で自分もチームに加入し、バスケ漬けの日々を送ってきました」
高校時代は司令塔としてインターハイやウインターカップに出場。大学へ進学後もさらなる活躍を期待されるなかでアクシデントに見舞われることに。
「大学に入学してすぐの新人戦で試合に出ることができ、喜んでいたのもつかの間、練習中にアキレス腱を断裂してしまったんです。復帰にかなりの時間を要することもありプレーヤーとしての道を断念せざるを得なくて。落ち込んでいるときにマネージャー転身への話を頂き、選手としての経験を活かせる道があるのならとお受けすることにしました。それから今に至るまで、マネージャーとしてバスケットに関わっています」

最後の瞬間まで目が離せないゲーム展開

プレーヤーとしての経験も持つ小松さんから見て、バスケットボールの魅力はどんなところにあるのでしょう。
「私は身長が157cmとバスケット選手にしては背が低いんです。そんな私でも見せ場を作り、得点し、チームに貢献できるのがバスケットの魅力。例えば、私はスピードを活かしたドライブを得意としていました。ドリブルでディフェンスをかわしながら一気にゴールへ向かい、シュートがビシッと決まったときの気持ちよさといったら! 他にもスリーポイントシュートが得意な選手など、個人によって得意なプレーがあり、練習を重ねてその技を磨くことで得点につなげられる面白さがあります。一人ひとりの1プレーがチームの勝利につながり、その喜びをみんなで分かち合えるのも団体競技ならではの醍醐味ですよね」
選手の巧みなボールさばきと目まぐるしいゲーム展開は、目が離せないほど。
「バスケットの場合、最後の1シュートで逆転!といった興奮する展開も少なくありません。試合終了を告げるブザーが鳴り、選手の手からボールが離れるまで勝利の女神がどちらのチームに微笑むか分からない。そんなドキドキ感を味わえるのも観戦する面白さだと思います」

代表選考から見守っていた東京オリンピック

現在は日本代表チームのマネージャーも務める小松さん。選手が試合で実力を発揮できるように、あらゆる面でサポートするのがその役割。
「選手は全体練習以外の時間を自主練習に充てます。それに合わせて私もコートへ入り、ボール拾いやパス出しなどをします。重要なのは、そのときの選手の動きや会話から普段との変化がないか感じ取ること。なかには、プレッシャーで食事が喉を通らなかったり、減量や増量で苦しむ選手もいます。話を聞くのはもちろんですが、私の場合、栄養士の資格もあるので、『この食べ物にはこういう栄養素があり、摂取することでこういう効果があるから必要』と具体的な話をしたり、好き嫌いがある選手には『代わりになる食べ物はこれ』といったアドバイスもしています」
第32回オリンピック競技大会(2020/東京)では、小松さんが所属する実業団チームからも選手が出場。その活躍を固唾をのんで見守っていたそう。
「日本代表の主力として活躍した林咲希は年齢が同じで、同期ということもあり、彼女がオリンピックで活躍するのは自分のことのように嬉しくて。彼女はとても努力家で、入団からずっと頑張っている姿を見てきたし、オリンピック直前は苦しい思いをしていたことを知っていたので、それを乗り越えて準々決勝のベルギー戦では試合終了間際に逆転3点シュートを決めたときは興奮! 見事に4強入りし、そして日本バスケットボール界史上初めての銀メダルを手にした同期を誇らしく思います。試合後は祝福と労いを伝えに車を走らせて彼女を迎えに行ったことは一生忘れないと思います」

身体にもよい旬の食材を和食で堪能

数々の感動を生んだ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。その舞台となった東京の街としての魅力はどんなところにあるのでしょうか。
「国際大会に帯同して世界のいろんな都市を訪れることも多いのですが、東京は都会でありながらゴミがほとんど落ちてなくて清潔な街という印象が強いです。とくにトイレがきれい! 首都ということもあり、日本のさまざまな地域のアンテナショップがあるため各地の物産品を東京にいながら購入したり、食べたりできるのも魅力です」
栄養士の資格を持っている小松さんがおすすめする東京での食の楽しみ方とは?
「和食はその季節ならではの食材を取り入れたメニューが多いのでおすすめです。旬の食材は新鮮で美味しいのはもちろん、その時季に必要な栄養素を含んでいるのでメリットがたくさん。レストランなどでメニューに『季節限定』とあれば、旬の食材を使っている証拠。スポーツ観戦を楽しみながら旬の和食を食べれば、心も身体も健康になること間違いなしです」

<プロフィール>
KOMATSU Kaori
1994年、秋田県出身。小学校3年生でバスケをはじめ、中学時代には全国大会に出場し、ベスト16に。地元・秋田の名門、湯沢翔北高校では下級生の頃から主軸を担い、司令塔としてインターハイ、ウインターカップに出場。その実力を買われて東京医療保健大学に入学。活躍を望まれながらケガを負い、大学3年生でマネージャーに転向。2017年、ENEOSにマネージャーとして入団。2022年、日本代表チームのマネージャーに抜擢される。